退屈だった
毎日が退屈だった
何かできる訳でもなく、何かしないといけない訳でもない
だから、毎日が退屈だった
そんなある日だった
彼らを見かけたのは
退屈で退屈で、ただ見ていることしかできなかった私が、見ているだけなのに退屈だと感じなくなった
昔は、退屈で仕方が無い一人
今は、楽しくて仕方が無い二人
彼が僕の中に生まれてから、僕にとって一番大切なのは彼になった
いや、そもそも大切なものなんて無かったんだ
無かったものが、彼のおかげで存在するようになったんだ
でもそれは、遠い過去の話
今はもう、その大切な存在が認識できない程、日常に溶け込んでいる
忘れている訳じゃない
それが良いことなのかどうかもわからない
でも、大切であるという事実だけは、いつまで経っても、変わらない
大切な存在なんて、この世には存在していない
世界の全てに裏切られ、自分という存在全てに裏切られた
生まれた時は、沢山
生きていく内に、少し
生きるのを終える時は、一人
寂しくて、淋しくて、さびしくて、サビシクテ
せめて終える時ぐらい、始まった時と同じぐらい、沢山の人に囲まれていたかった
それが叶えられない世界に、不満を覚え
それを叶えてくれない人たちに、怒りを覚え
未練を感じ、終わったのに、終わりたく無いと思ってしまって
終わって良いと思っていたのに、何もしないまま終わりたく無いと思ってしまって
こうして今、ここにいる