匂いのする方向は……風の向き的に考えると……左前方の茂みから……。……あそこに部長が……? ……いや、だがちょっと待て。あの部長のことだ。そんなわかりやすい目印になるようなものを、ずっと持ってるか……? もしかしてあの左前方の茂みには誰もいなくて、小瓶が置いてあるだけという可能性も……そんで他の場所からオレのことを狙っているのか……? 

 ……いやそもそも、じつはオレの作戦がバレていないという可能性はないか……? あそこにああして匂いの発するものを置いておけば、オレは確実に足を止めてしまう。そのためにあそこに小瓶を置くという“保険”を仕掛けておいたという可能性は……? ……いや、この可能性は一番低い。むしろこうした考えをさせてオレの隙を広げようとするのが部長だ。そんな楽観的な考えは捨てるべきだろう。

 ならば、可能性は二つ。あそこにあるのは小瓶だけで、他の場所に部長がいる。あそこには、小瓶の持った部長がいる。その二つのみ。前者が一番確率が高いが、そう思わせといてじつは後者の可能性も、部長ならば有り得る。

 

 ……なら、方法は一つ。あの匂いを発している場所へと水鉄砲を放ち、すぐさま移動する。

 もし他の場所に部長がいるのなら、オレが匂いのする場所へと水鉄砲を放った瞬間に、オレがいまこうしている場所に弾丸を放ってくるだろう。ちゃんと周囲を見回しても部長の姿は見当たらないが、あの人なら何処に潜んでいてもおかしくはない。だから……ヒットエンドランの要領で、攻撃後すぐに離脱する。

 

 そうして自分の行動を決めた直後、オレはしゃがみ込んだまま、両手で握っていたマシンガンタイプの水鉄砲の銃口を、匂いの発する場所へと向ける。……正確な狙いをつけている暇はない。そんな隙だらけな姿を見せれば、すぐさまオレは死亡してしまう。だからこそ、向こうにも突然と見える行動をしないといけない!

 

 そうして向けた銃口から水弾を発射させるため、引き金にかけていた指に力を込める。

 が、発射される前に、その茂みの中から、一つの“小さな”影が飛び出してきた!

 

「っ……!」

 

 反射的な行動だった。

 向けていた銃口、引き金にかけていた指、そんな自分の攻撃準備を全てキャンセルして、左手で茂みに生えていた枝を折って構える。

 

「そらそらそらそらそらっ!」

 

 ハンダガンタイプの水鉄砲二挺をオレに向かって乱れ撃ってくる白髪ツインテールの活発幼女。その水弾全てを、さっき折った枝を振り回して防ぎ続ける。

 結構な量の小枝と葉がついてくれているおかげで、てきとうに振り回しているだけなのに、こちらまで水弾は辿り着かない。

 

「はっはっはっはっはっは……!」

 

 高笑いを上げ続け、オレを中心に弧を描くように走りながら水弾を放ち続けてくる。弾切れなんて気にしないその豪快な撃ちっぷりは、防いでいるこちらからでは十分に脅威となっている。

 そんながむしゃらに見える攻撃を繰り出してきているのは、白髪ツインテールの活発幼女こと癒枝。……そう。あの茂みから匂いを発していたのは部長じゃなかったのだ。

 

 あの小瓶を持っていたのが部長だったので、ついつい部長が相手だと前提で行動してしまっていた。

 “それこそが部長の狙い”だと知らずに。

 そしてオレは、その部長の策に見事ハマり、こうして防戦一方になってしまっている。

 もし……もしオレが、あそこにいるのが癒枝だというのも想定できていたのなら、先程オレが向けていた銃口から、水弾を発射することが出来ていただろう。あの小さな影が飛び出した瞬間に、身体の何処かを撃ち抜く事が出来ていただろう。心の準備が出来ているか否かというのは、こうした咄嗟の判断・反射的な行動に現れてしまうものだから。

 

 と、ちょうど百八十度体を回転させられた頃、癒枝の砲撃がやんだ。

 枝の隙間から見てみると、癒枝はこちらに背を向けて走り去っているところだった。おそらくは、オレ達の気本拠地へと向かって水を補充するためだろう。

 ハンドガンタイプの水鉄砲は乱射が利く分、やはり水の入る量が総じて少なくなってしまうのが難点だ。が、そのおかげでオレは助かったと思うべきか。

 

 そうして走り去る癒枝の背中に狙いを定めるため、さっき手放した水鉄砲を構える。

 ……と、違和感。どうして癒枝は、ああして無防備な背中を向けてまで全力疾走しているのか? いくら癒枝が小さくて当てずらいと言っても、あそこまで無警戒だと水弾を当てることは容易くなってしまう。それなのに……どうして? 

 ……理由は簡単。

 

 これは、部長が仕掛けた罠だから。

 

 瞬間の理解、刹那の判断、そして、反射に任せた行動。

 オレは罠だと理解した瞬間、盾にした枝を拾う暇なぞ無いと判断した刹那、自らの体をいつの間にか左側に転がしていた。それはまさに、反射的な身体の動き。

 だが……少しだけ遅かった。転がしているオレの身体、その右肩に水弾がぶつかる衝撃。

 

「っ……!」

 

 これで右腕は使えない……! くそっ! ……いや、あの状況なのに右腕一本で済んで良かった、と考えるべきか。

 

 茂みの中に全身を隠すために、ホフク前進でもするかのように、地面に身体を寝転ばせる。こうして自らの安全をある程度確保してようやく、状況分析。

 ……どうやら水弾は二発発射されたようで、オレの右肩と、オレが手放した枝の盾が盛大に濡れていた。しかも枝に至っては、オレが放置した場所よりも少しだけ移動している。……枝とは言え、水圧でモノを移動させるだけの威力があり、しかもオレの視界外から攻撃してきた……部長の武器は間違いなく、スナイパーライフル。

 本物のそのライフルならこうした連射は利かないだろうが、あくまでこれは水鉄砲。連射が利いて当たり前。オレだって部長に支給されたライフルで試し撃ちした時にそれは確認している。

 だが部長は、あくまでその連射機能に頼り切らず、正確無比な二発だけを撃ち込んできていた。オレがあのまま癒枝に狙いを定めていたら、頭と心臓をやられていただろう。

 

 さて……それで、肝心の部長は何処だ? 飛んでいった枝・付着している水滴から、真正面から撃ってきたのは間違いない。だからこそこうして、真正面からだと狙い辛い場所に隠れているんだし。

 でも……さっき周囲を見回したときにはいなかったぞ? 一体何処に……いや、もしかして――……。…………。……――やっぱりだ! 真正面に生えている木、その太い枝の上に、迷彩服を着た部長がライフル銃を構えていた。

 ……おそらく飛び出した瞬間に撃ち抜くつもりであろうその銃口は、確実にこちらを向いている。……この茂み目掛けて乱射し、水の残量を無くすなんてヘマをしないつもりだろう。

 ……と言うか部長……あんな迷彩服まで持ってきてたのか……。

 ……つうかあの部長が持ってきたリュックサック、何でもありか? こうしてオレ達に貸し出してくれた水鉄砲だって、どう考えてもあのリュックサックには入らない大きさのように感じるんだが……。量だって、ハンドガンタイプ合計八丁・マシンガンタイプ合計四丁・ライフルタイプ合計二丁って……もし入ったとしてもリュックはパンパンになるはずなのに、まったく余裕があるように見えてたし。……ちなみに武器を支給されている時にツッコんだ時は、やっぱりのらりくらりとかわされてしまった……。

 おかしいし不思議な人だよ、あの人は。

 

 ……でも……そんなところも含めて尊敬しているし、だからこそこんな遊びでも、あの人に勝ちたいと思う。

 だから……勝つためにはどうすれば良い? 

 ……おそらく部長が、ああして冷静に、オレが飛び出して来るまで待っていられるのは、オレ達の拠点に水を補給しに行った癒枝が帰ってくるのを待っているため。帰って来さえすればオレを挟撃でき、あっさりと殺すことも出来るだろう。……なら……オレが仕掛けた策を見破られないためには…………癒枝が帰ってくる前に決着をつけようと焦ってしまうオレを見せる、それに限る。だが、そうして焦るフリをしようとも、オレ自身が撃たれて死ねば終わりだ。

 なら……なら……! オレはこうするしかないと思う……!

 

「いくぞっ……!」

 

 自らを鼓舞し、茂みの中からマシンガンの銃を地面に滑らせ、飛び出させる。

 そして、茂みの中に捨てられていた空き缶を手に取り、オレも自らの体を飛び出させた。……瞬間、さっき回収した空き缶を、届く訳が無いのに、部長目掛けて投げつけた。

 

「っ……!」

 

 その結果がどうなるかを見届ける前に、身体を大きく前転。回る視界の中、憶測で茂みの中に手を突っ込み、枝を再び折りちぎる。

 ……この間、オレが今までした行動に意味があったのかは知らない。が、オレへの水弾ヒットはない。ただ、再び立ち上がって走りこむまでの間に映った映像は、最初に滑らせた銃が撃たれていたり、前方に投げた空き缶が跳ね返ってきていた。

 

 だがそのことに意識を取られないようにしながら、身体を極力低くし、そのまま全力疾走しつつ、先程折りちぎった枝をがむしゃらに振り回しながら突き進んだ。

 弾が何度も前方の枝にぶつかっているのか、破片にあたる物が顔につく。

 だがそんなのも気にせず、自分の足を撃ち抜かれるかもしれないのも気にせず、ただがむしゃらに走り続け、ただがむしゃらに枝を振り回し続けた。

 

 そして気付けば、部長が登っている木の近くまで辿り着いていた。

 ここからは……ただがむしゃらに進むだけではダメだ。

 枝の振り方も、銃口とこちらの直線状にくるようにしないといけない。

 

「がっ……!」

 

 でも、さすがに全弾は防げないか……!

 

 左脇腹へと衝撃が走り、足元がふらついてしまう。

 

 ……だが……今まで防げて、ここまで来れたのが奇跡のようなもの。なら、これぐらいの代償は安い……! 

 それにせっかくここまで来たんだ……止めてられるか!

 

 だからオレは、手に握ったままの枝を、部長目掛けて投げつけた。

 

「なっ……!」

 

 盾を手放すその突然の行動に、部長の驚く声が斜め上前から聞こえる。

 投げつけるというその行動に意図なんて無い。だからこそ、全ての行動に意図があると深読みしてしまう、部長への牽制に成り得た。

 そして、すぐに反応されては何の意味も成さないその枝は、牽制による僅かな時間稼ぎのおかげで、見事部長への目隠しの役割も果たせた。

 

 そうして飛んでくる枝を払い除ける音が“真上”から聞こえる。……枝が目隠しになったのは“うれしい誤算”だった。

 何故ならオレは、今こうして、部長の真下にいることが出来ているのだから。

 

「くらえっ!」

 

 撃たれた脇腹を、同じく撃たれた右手で押さえながら、標準もろくに合わさずに、後ろポケットに忍ばせていたハンドガンの銃をもう片方の手で抜き放ち、真上へと撃ち放つ。

 ただがむしゃらに、撃ち続ける。

 これで殺せると思ったがしかし、部長の反応は早かった。

 先程まで握っていた、自らの武器であるスナイパーライフルをオレ目掛けて捨て、オレから距離を取るように木から飛び降りる。

 

「くっ……!」

 

 振り落ちてきたライフルが肩にぶつかるが、そんなものは関係ない。

 ただ標準を部長に合わせたまま、撃ち続ける。

 撃ち続けながら、部長目掛けて駆けて行く。

 ……この時程、自分がテニスをしていて良かったと思えたことはない。

 

 何故なら、部長の着地地点を、予測できたのだから。

 

 だからオレは、その予測地点目掛けて構え、着地際を狙い、部長の右足を撃ち抜いた。

 

「ぐはっ……!」

 

 痛みに震え、座り込んでしまう部長。その隙に自らの脇腹への痛みも振り切って、一気に間合いを詰める。

 そしてその額に、銃を突きつけた。

 

「っ……!」

 

 だが同時に、部長がポケットから抜き放ったハンドガンを、心臓に突きつけられた。

 

「…………」

「…………」

 

 互いに沈黙。

 ……片や、右肩・左脇腹を撃たれ、右腕が使用不能かつ全力疾走を続けたが故に体力も無くなりかけの、満身創痍な男。

 ……片や、右足を撃ち抜かれて移動は不可能に近く、座り込んでしまっているため移動するには隙を見せないといけないものの、体力はまだまだある男。

 ……どちらが不利かは言うまでもない。

 

「……どうした? 撃たないのか?」

 

 沈黙を最初に破ったのは、その部長の言葉。

 ……テレビやマンガで同じ場面を見たことはある。そしてオレはその時、決まってこう思っていた。

 どうして先に撃たないんだろう、と。

 ……今こうして、当事者になってみて分かる。

 撃たないんじゃない。撃てないんだ。

 相手から発せられるプレッシャーと、撃ち抜いた反動でオレまで殺されないかという不安とで。

 

「……ええ。今はまだ、撃ちません」

 

 相手からのプレッシャーと、自分の中の不安に負けぬよう、言葉を紡ぎ続ける。

 

「どうしてオレの策がわかったのかを、教えてくれるまで」

「ああ、そのことか。いいぜ、別に教えてやっても」

 

 二つの要因で押し潰されそうなのを耐えているだけのオレに対し、部長は飄々と、余裕を持った言葉で続ける。

 

「つっても、特に教えることなんて無いけどな。ただ、お前と日頃打っているオセロの戦略から想定しただけだ」

「……どういう意味ですか?」

「そのまんまの意味さ。お前、オセロじゃあいつも周りとか隅とかを取れるように戦略を練ってるだろ? つまりは、外堀から埋めようとする節があるってことさ」

「だから、外堀に当たる本拠地を狙ってくる、と」

「ああ。んでその場合のルートを想定したら……」

「ここだったと」

「その通りだ。それよりも桐生、お前は本当に、オレを早く撃たなくて良いのか?」

 

 ……さすが部長。この反応、どうやらもう気付かれてしまったみたいだ。……オレが仕組んだ策を。

 

「……ええ。全然、早く撃たなくて大丈夫ですよ」

「……どうしてだ? このままだと、水を補給した癒枝が戻ってきて、お前までも殺されてしまうぞ?」

「……それはありません――」

 

 オレがその言葉を発した直後、遠くから癒枝の「冷たーーーーーーーーいっ!!!」と言う悲鳴が聞こえてきた。

 

「――ほら。……と言うより部長、そうして時間を稼いで、その間にどうするかを考えるのはやめませんか?」

「ほう……どういうことだ?」

「そのままの意味です。部長はオレが仕掛けたあの策に、とっくに気付いていたでしょう?」

「それは買い被りすぎだ。もし見抜けたなら、癒枝をあそこへは向かわせない」

「気付いたタイミングは、こうして銃を突きつけて尚落ち着いているオレを見て、でしょう? だったら、癒枝を行かせてしまっても、引き戻すことなんて出来ませんからね」

 

 おそらく部長の予定では、癒枝にはオレ達の拠点で水を補給させ、ここに戻させるつもりだったのだろう。だがそこに、オレが雪音さんを配置した。……当初のオレの予定では、部長達の拠点を抑えた後、二人で挟撃する予定だった。だから雪音さんには、オレ達の本拠地の守りを任せた。

 でも、ただ普通に水場に立たせるだけでは格好の的になるだけ。だからオレは、水場から遠い場所で見張ってくれるように頼んだ。

 そしてもし、水場に来たのが一人なら、彼女に託したライフルで撃ち抜いてもらい、二人なら、すぐにオレに連絡してもらうよう頼んでいたのだ。

 そして水場に行ったのは、癒枝一人。

 だからおそらく、癒枝は見えない場所から攻撃を受けたことだろう。

 

「……わかったよ桐生。ならお前の言う通り、俺がお前の策に気付いてたとしよう。だがそれなら、余計にお前は俺を早くに撃ち抜くべきじゃあないのか?」

「それは違いますよ。……確かに、もしここでオレが部長を撃ったとして、反動で水弾が発射されて相打ちになった場合は、オレ達のチームの勝利になります。雪音さんが生き残ってますからね。でも……部長がそうあっさりと、オレ達を勝たせる訳がありません。だからこうして、警戒しているんです」

「……何故? この状況で一体、俺に何が出来る? 何も出来ないだろう」

「だからこそです。そう思わせているあなたが、何の策も講じない訳が無い。……オレだってね、伊達にあなたとオセロをしてきた訳じゃないんです。あなたはいつもそうですから。……勝ったと思った瞬間に、仕掛けていた逆転の一手を発動させます」

 

 これこそが、銃を突きつけた瞬間から感じていたプレッシャー。

 ……この人はたぶん、木から飛び降りた時――いやもしかしたら、ずっと前から、こうなった時の対策を立てていた可能性がある。

 だからオレは、銃を突きつけながらも、何も出来ないでいる。

 

「……口調まで変わりやがって。そこまで警戒するほどのことでもないだろ」

「……そうでもありませ――」

 

 瞬間、部長の雰囲気が変わった。

 プレッシャーを感じていない、あのおどけた雰囲気から、本当に微細な変化。

 その、付き合いの長い人でないと気付けないソレを感じた刹那、オレは銃を手放し、後ろのポケットに忍ばせたままの、もう一丁の銃を取りに掛かる。

 

 その間部長は、オレの心臓に突きつけていた銃を、“オレの手元目掛けて投げ放っていた”。

 ……何となくだけど、予測できていた。だってオレが部長の立場なら、同じことを考えただろうから。

 相手の武器を、自分の武器を犠牲にしてまで、無効化させる。だって部長の武器ストックには、もう一丁同じ形状の銃が存在するから。

 

 ……でも、ここからの部長は、オレと考えが違っていた。

 オレならば、その忍ばせておいた銃を取ろうと腕を動かす。だからこそこうして先読みすることで腕を動かし、部長よりも先に銃を構える時間を作ることが出来ている。

 

 ……だが、何度も言うが、部長は違っていた。

 

 この人はなんと、この戦いが始まってから着ていた長袖の迷彩服、その袖口にその一丁を隠していたのだ。

 だから、手首のスナップだけで銃を飛び出させ、すぐさまソレを手中に収める。しかも、銃を握るために腕を動かすオレと違い、その腕は不動。だから、銃が握られた時点で、銃口の狙いはオレの身体に向いたままなのだ。

 

「ぐっ……!」

 

 圧倒的に向こうの方が速い。だが……オレは部長よりもワンテンポ早く、後ろに隠していた銃を取りに腕を向かわせている。

 銃自体を飛ばしてまで攻撃してくることを読んでいたが故のその行動。

 しかしそれでも、僅かに向こうの方が速い。

 このままでは勝てない……だからさらにオレは、腕を向かわせながらも、上半身を右に倒し、銃を握った瞬間に、脇腹の横から狙いを定めた。

 

「つぁあっ!」

 

 そして互いに、同じタイミングで、銃口から弾を発射させた。