何か、特別な変化が欲しかった訳じゃない。

 

異世界に飛ばされちゃうとか、

特殊能力に目覚めちゃうとか、

かわいい女の子が突然空から降ってきて同棲を始めちゃうとか、

隠れてしていた親の借金が億単位になってて自分が売られそうになっちゃうとか、

 

そんな非日常はいらなかった。

 

でも、何か変化は欲しかった。

刺激的な何か。

 

例えば……彼女が出来るとか、そういうありきたりな刺激は、欲しかった。

自分にとっては劇的で、でも周りから見たら極々普通な、そんな変化が欲しかった。

 

だから神様――

 

「それじゃあ筧橙耶! これから私がいるかぎり、あなたを幸せになんてしてあげないからっ!」

 

――こんな羽の生えた金髪女、とっとと持って帰ってください。